杉原 厚吉  様

明治大学研究特別教授

【題目】 見ることの常識が通じない立体錯視の最前線

【概要】 私たちは普段の生活の中でいつも目を使っており、見たらモノの形はわかるはずと思いがちです。また、一度は見間違えることがあっても、いろいろな方向から見たり触ったりして本当の形を理解した後では、2度と見間違えることはないと思っているのではないでしょうか。さらに、両目で見れば、三角測量という数理的に明確な原理でモノの奥行きがわかるはずと信じているのではないでしょうか。でも、これらの常識が全く通じない世界があることが、最近の立体錯視の研究によってわかってきました。この講演では、実際に存在するのにそんな立体はあるはずがないと感じる不可能立体の多様な姿を紹介し、見ることの常識が通じない快感を味わっていただきたいと思います。

【プロフィール】 1973年東京大学大学院工学系研究科修士課程修了後、電子技術総合研究所、名古屋大学、東京大学，明治大学などを経て、2019年4月より明治大学研究特別教授。専門は数理工学。ロボットの目を開発する研究の中で、不可能図形のだまし絵を立体化する手法を見つけ、立体錯視の分野へも研究を広げてきた。さまざまな不可能立体を創作し、立体錯視アーティストとしても活躍している。国際ベスト錯覚コンテスト優勝3回（2010年、2013年、2018年）、準優勝2回（2015年、2016年）。錯視作品は、2018年9月より2020年2月までの1年5か月にわたって台湾の国立故宮博物院で特別展示されるなど、多くの科学館・美術館で展示の実績を持つ。

基調講演 (2019.9.19)