プロジェクト&プログラム・アナリシス研究部会(2019年7月25日)開催のお知らせ

プロジェクト&プログラム・アナリシス研究部会 (2019年7月25日)開催のお知らせ

2019年6月21日
研究部会主査: 日揮(株) 佐藤知一

各位:

「プロジェクト&プログラム・アナリシス研究部会」の2019年第3回会合を開催いたします。

「頭は使うべきだが、仕事に心を使ってはいけない。」--昔、ある業界のベテランのプロジェクトマネージャーから聞いた言葉です。最初に聞いた時は、意味がよく分かりませんでした。プロジェクトは人の集団が行う活動です。頭を使うのは当然としても、他人への気遣い・心づかいを忘れたら、チームは円滑に回らないはず。そう、感じたのです。

しかし、その後しばらくして、この言葉は存外深い意味があるのでは、と感じるようになりました。とくにプロジェクトが火を吹いたような時、顧客との困難な交渉、社内外との調整、そしてストレスやら過剰な心配やらで、心身がへとへとになり、物事に機械的な応対しかできない状態に陥ります。「心がすり減った」としか言いようのない気分になるのです。

そんな時に、社会学者・石川准氏の著書「見えないものと見えるもの」(医学書院)で『感情労働』という概念を知り、衝撃を受けました。世の中の労働は、知的労働と肉体労働に分けられる--そう信じてきた自分には、全く見えていなかったカテゴリーの労働があり、それが感情労働だというのです。たとえば看護師の仕事がその典型で、感情というリソースを活用・消耗する仕事であり、過剰になると「心がすり減って」しまうのだ、と。たまたま同じ時期、欧州のPM研究で「社会構築主義」が話題になっていたのですが、こちらでも感情の社会学が関心を呼んでいました。

そこで今回は、静岡県立大学教授・兼・東京大学先端科学技術研究センター特任教授である石川准氏をお招きして、感情労働についてお話いただきます。ちなみに石川氏は、目が不自由でありながら初めて東大に入った方で、だから著書のタイトルは非常に象徴的でもあります。

多くの人が感情をすり減らしながら毎日働いているように見える今日、感情のあり方について、社会学の観点から見直す機会になると思います。

大勢の皆様のご来聴をお待ちしております。

<記>

■日時:2019年7月25日(木) 18:30~20:30

■場所:田町キャンパスイノベーションセンター 5F スペース:509AB

(いつもの慶応大学三田キャンパスとは場所が違いますのでご注意下さい!

JR田町駅の芝浦口から右方向の階段をおりて、50mほど先の右手の建物です)

http://www.cictokyo.jp/access.html

■講演タイトル:

「感情労働とは何か」

■概要:

 感情を社会学というツールを用いて分析すると、感情規則、感情管理、感情労働といった概念が浮かび上がってくる。

 こうした基本概念を説明しつつ、感情規則の多様化、感情労働の高度化・広範化といった今日的な状況の中で、公的および私的領域における協同作業や他者理解の困難について考えたい。

■講師:

石川 准(いしかわ じゅん)

 静岡県立大学教授

 東京大学先端科学技術研究センター特任教授

■講師略歴:

 1981東京大学文学部 卒業

 1987東京大学大学院 社会学研究科博士課程 単位取得退学(社会学博士)

 1997静岡県立大学 国際関係学部 教授

 2012内閣府障害者政策委員会 委員長

 2015東京大学先端科学技術研究センター 特任教授

<研究テーマ>

●社会学分野  存在証明、アイデンティティ・ポリティクス、障害学 (disability studies)、アクセシビリティ、感情労働

●支援工学分野 自動点訳・ スクリーンリーダー・点字携帯端末・移動支援機器の開発

<主な社会活動 >

国連障害者権利委員会 副委員長、内閣府障害者政策委員会 委員長

<著書・訳書>

『見えないものと見えるもの』医学書院 2004

『障害学への招待』明石書店 1999

『アイデンティティ・ゲーム:存在証明の社会学』新評論 1992

『管理される心:感情が商品になるとき』世界思想社 2000 Arlie R. Hochschild, 1983, The Managed Heart, The University of California Press

■参加費用:無料。
ちなみに本研究部会員がスケジューリング学会に新たに参加される場合、学会の入会金(¥2,000)は免除されます。
参加を希望される方は、確認のため、できましたら前日までに三好副幹事(miyoshi_j@kensetsu-eng.co.jp)までご連絡ください。