2009年 11月 13日 |
◆12月研究会(第29回:通算198回)のご案内
日時:12月18日(木) 18:00~20:00
場所:青山学院大学 総研ビル 10階18会議室
講師:加藤篤史(青山学院大学経営学部)
題目:2009年ノーベル経済学賞受賞者ウイリアムソン教授の研究業績
要旨:ウィリアムソンは、取引が市場で行われる場合と組織で行われ場合の条件の違いを取引費用経済学の枠組みを用いて明らかにし、企業間の統合の理論を発展させた。すなわち、市場取引に比べ、権限の階層構造を持つ企業内で取引を行う場合には、ガバナンス費用が相対的に低く抑えられるが、逆に生産費用は相対的に割高になる傾向がある。ガバナンス費用と生産費用の相対的大小関係を決める重要な1つの要因が資産の特殊性であり、特殊性が高まるほど取引は企業内で行われる傾向が見られるというのがウィリアムソンの研究の重要なメッセージである。この研究会では、ウィリアムソンの主要な業績について、他の見解とも比較しながら紹介する。
◆1月研究会(第30回:通算199回) ご案内
日時:1月22日(金) 18:00~20:00
場所:青山学院大学 総研ビル 9階16会議室
講師:細田順子(日立製作所)
題目:応答曲面法による部品在庫量の最適化
要旨:需要量が確定する前に生産を開始する見込み生産では,需要変動に備えて安全在庫を保持する。近年の製品種類の増加や部品の標準化により,廃棄リスクを低減するために部品として安全在庫を保持する企業が増加している。安全在庫を部品として保持すれば,余剰部品が発生した場合に他製品に流用することが可能となり,製品として安全在庫を保持するよりも少ない安全在庫量で製品の品切れを防止することができる。しかし,生産に使用される部品は数百~数千種類となり,製品の品切れを防止するようにそれらの在庫量を人手により適切に設定することは困難である。講演では,このような問題を解決するために開発した,応答曲面法による部品在庫量の最適化方式について述べる。まず,部品在庫量の組合せから各製品の品切れ率を予測する応答曲面の生成方法,および応答曲面の最適化方法について述べる。次に,数値実験例を示した上で本方式の特徴について考察する。
◆11月研究会(第28回:通算197回) ご報告
日時:11月12日(木) 18:00~20:00
場所:青山学院大学 総研ビル 9階16会議室
講師:秋庭雅夫(東京工業大学名誉教授)
題目:経営目標と現場の努力を結ぶ「TPマネジメント」
参加:17名(大学5,企業12)
報告:20年近くに亘るTP(Total Productivity)の提唱・実践・指導された経験の中から、TPの思想およびいくつかの企業での実践例 について紹介があった。TPとは、数値化可能な経営指標の目標を設定し、その目標を達成するための各施策に寄与率などを用いて 目標値とともにブレークダウンし、個々の施策の達成が全体目標に寄与する様子を可視化することにより、全体の目標をより確実に 達成できるようにする活動である。事例では、ニコンほかいくつかの企業において、どのようにTPに取り組んできたかについて、実際 の目標展開表とほぼ同じ内容で詳しく説明があった。目標分解は、個人で対応する施策にまで分解するため、分解される施策の数と しては数千にものぼり、一覧表にすると壁一面になるケースも多いとのこと。また、単純な目標展開だけでなく、製造原価のように、 達成時期が重要であり、時期によって利益の額が変わるようなシミュレーションも実施している例についても紹介があった。 質疑では、サービス業への適用可能性や、目標間の配分方法や相反関係の取り扱いについて、また外注化されている状況での対応など について質問と議論があった。また、IEの定義について、「経営の目的・目標を達成するための技術体系」であり、一般的にIEと考え られているもの(時間分析などの個別手法)は狭すぎるという講師の意見には共感する。(成松)
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主査:
黒田 充 (青山学院大学 名誉教授)
伊呂原 隆 (上智大学 理工学部 情報理工学科)
幹事:
成松 克己((株)東芝 セミコンダクター社)
竹田 賢 (青山学院大学 経営学部)
小林 稔 (エムエーシー)
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日本経営工学会・日本OR学会・スケジューリング学会 合同研究部会
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