1999年 01月 01日 |
書評
木瀬 洋(京都工芸繊維大学)
Scheduling Computer and Manufacturing Processes
著者: J.Blazewicz, K.H.Ecker, E.Pesch,
G.Schmidt and J.Weglarz,
出版社(出版年): Springer (1996)
本書のタイトルと著者を見て、あれっと思う人がいるかもしれません。
Schduling in Computer and Manufacturing Systemsという似た本がほぼ同一著者によって1993年に出版されているのです。前著は少し読辛い箇所があったように思いましたが、その点で云えば今回のはかなり改善されているように思えます。
この本は前著の改訂版というよりも新規の本であると著者らは主張していますので、まず、どこが違うのかを見てみたいと思います。
文章が大幅に加筆、修正されたのに加えて、かなり多くのトピックスが新たに加えられています。
主なものは、Ejection Chain (放出鎖?)、Scheduling Imprecise Computation(精確でない計算のスケジューリング)、Lot Size Scheduling(ロットサイズスケジューリング)、Communication Delays and Multi Processor Tasks( 通信遅れのある多機械タスク)、Batch Scheduling in Flexible Flow Shop under Resources Constraints (柔軟フローショップにおける資源制約下バッチスケジューリング)などです。
Ejection chain は、元々、1960年代にグラフ理論で使われていた用語ですが、最近、GloverとPeschによってLocal Searchの一種として提唱されました。より洗練された近傍探索を特徴とします。
Scheduling Imprecise Computationでは、納期までに完了できなかったジョブの残余(処理時間)の和を最小化する問題を取り上げています。例えば、センサーからのデータを計算機が集計し、それに基づいて計測(例えば、画像処理)を行う場合、計測精度を最大化がこの問題に対応します。納期遅れ和最小化問題とよく似ていますが、この場合は完了時間と納期の差が問題となります。
Lot Size Scheduling では、並列機械を取り扱っているところに特徴があります。
Communication Delays and Multi-processor Tasks では、異なる機械に割り当てられたジョブ間で互いに通信を行う場合(例えば並列計算)における新しいスケジューリング問題を検討しています。
Batch Scheduling in Flexible Flow Shop under Resource Constraintsでは実際上の問題を取り扱っています。最後にこの本の目次を紹介しておきます。
1.Introduction
2.Basics
3.Definition, Analysis and Classification of 4.Scheduling Problems
5.Scheduling on One Processor
6.Scheduling on Parallel Processors
7.Communication Delays and Multiple Tasks
8.Scheduling in Flow and Open Shops
9.Scheduling in Job Shops
10.Scheduling under Resource Constraints
11.Scheduling in Flexible Manufacturing Systems
12.Computer Integrated Production Scheduling
(491頁、113図) |
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