2000年 12月 01日 |
「先進的スケジューリング」研究部会について
木瀬 洋(京都工芸繊維大学)
平成13年度事業計画の一つとして標記の研究部会の設立が認められました。まだ詳細な要綱や具体的な開催日程は決まっていませんが、この場で設立趣旨等を説明させていただき、もって会員からのご意見、ご要望ををお聞きしながら出来るだけ多くの方に参加していただけるようにしたいと思います。
設立趣旨
黒田前会長のご退任ご挨拶にも有りますように、近年、スケジューリングを取り巻く環境は大きく変わつつあります。
まず、企業においてスケジューリングに対するニーズが飛躍的に増してきました。これは、需要変動が不確定かつ激しい環境下で顧客が必要とするものを素早く供給できる体制を確立することが企業戦略として必須になってきており、このためにはあらゆる段階で最適スケジューリングが要求されるという認識が広がってきているためと考えられます。
サプライチェインマネージメント(SCM)は昨今最も注目され,かつ、導入の動きが活発ですが、SCMソフトの中核はスケジューリングであります。この中で最も注目されているスケジューリング手法の一つに APS(advanced planning and scheduling)があります。 APSでは、従来のMRPやERPにおいて不可能であった正確な納期回答を素早く行うことができると喧伝されていますが、この秘密はどこにあるのでしょうか。本研究会の目的の一つはこのAPSの本質と今後の発展を検討することにあります。
次に、これも黒田先生のご指摘のように、スケジューリング最適化に対するパラダイムシフトと言うべき変化が起きつつあります。すなわち、従来の組合せ最適化が目指す"完全最適化"から最も重要な資源のみに焦点を絞る"ボトルネック最適化"への変化です。この代表例としてTOC(theory of constraint)が揚げられますが、 TOCに基づく最適スケジューリングには多くの研究課題があるものと思われます。本研究部会では、TOCに基づくと称されているスケジューリングソフトの実態と課題について検討します。
さらにコンピュータ能力の飛躍的向上とシステム技術の発展によりかなり複雑なスケジューリング最適化手法も実用化できる可能性が出てきたことです。例えば、汎用的なスケジューリングシステム及び汎用スケジューラの開発が研究レベルでも盛んになりつつあります。これらの研究は複雑な問題でも簡単な入力手続きのみで質の高いスケジュールを生成することを目指しています。本研究部会ではこの方面の研究動向や応用事例を検討して行きます。
以上、本研究は実務者と研究者が一緒になって今後のスケジューリング技術の発展と普及に寄与することを目的としています。
付記
既に「製品開発スケジューリング」研究部会が東京を中心に活発に活動されていますので、本研究部会はさし当たって関西を中心に活動し、機会があれば、上記研究部会と連携していきたいと思っています。
この研究部会に対するご意見をお待ちしています。 kise@ipc.kit.ac.jp |
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