PSLXコンソーシアムの紹介
20020201
PSLXコンソーシアムの紹介

正会員:西岡 靖之/Yasuyuki NISHIOKA(法政大学工学部経営工学科)


インターネットを中心としたITの進歩は目を見張るものがあります。そして製造業は、この大きな流れの中で、特に管理系のしくみを大きく変えなければ生き残れない状況にあります。このような中で、昨年7月にPSLXコンソーシアムが設立されました。
PSLXコンソーシアムは、生産スケジューリング問題を中心とした、製造業の計画業務に関する問題記述の標準化を行う団体です。なぜ標準化かというと、もはや標準化を前提とした企業間の効率的な連携なしには、モノ造りができなくなってきているからです。
生産スケジューリング問題を標準化し、計画情報そのものをインターネットでやりとりすることで、従来のEDIを超えた多企業間での最適化が進みます。また、企業内でも、ERPやスケジューラなどがベンダーを問わずに情報交換可能となることで、より柔軟で拡張性の高いシステム構築ができるようになります。
これらの問題を解決し、そしてさらに、製造業が現在もっている生産管理のノウハウを、標準という形で海外へむけて情報発信することで、引き続きこの分野での国際的なリーダーシップを確保することも、PSLXコンソーシアムの大きな目的となっています。
現在のコンソーシアムのボード会員としては、以下のような構成になっています。
  1. スケジューラベンダー :7社
  2. ERPベンダー :5社
  3. 生産系パッケージベンダー :6社
  4. システムインテグレーター :7社
  5. コンサルティング企業 :4社
  6. ユーザー系企業 :3社
特に、スケジューラベンダーとしては、国内に開発拠点を置く主要なベンダーのほぼ全社が参加しており、ここで策定する標準が、実質的に業界標準となる可能性が極めて高いことが、各方面から注目されているもうひとつの理由です。
具体的な活動としては、以下の5つの分科会に分かれ、現在活発な議論を行いながら、本年9月の勧告へ向けてPSLX標準規約の策定作業に取り組んでいます。

グランドデザイン分科会
製造業の現在置かれている厳しい市場環境を正しく理解し、取り組むべき課題を整理する。そして、APSを中心とした新しい製造業アーキテクチャの中で、それらの課題と、具体的なモデル、手法、要素技術を明らかにする。
オブジェクトモデリング分科会
APSという新しい製造業アーキテクチャについて、生産計画業務の側面から具体的なシナリオを分析し、必要となるユースケースを抽出する。そして最終的に、APSを構成する各機能の内容と関係を明らかにする。
インターネットコア技術分科会
XMLによるインターネット上でのアプリケーション間のデータ交換のしくみについて、システムを実装する立場から実際的な問題を洗い出す。そして、具体的なデータ交換の仕様を検討し、最終的にXMLのタグセットを決定する。
標準化調査検討分科会
国内、海外の関連する標準化団体の動向を常にウォッチし、PSLXコンソーシアムの内容がグローバルスタンダードと乖離しないように連携または情報交換を行う。
統一用語辞書分科会
APSに関するさまざまな用語について、コンソーシアム内部での議論はもちろんのこと、APSユーザとITベンダーやコンサルティング企業との間の円滑なコミュニケーションのベースとなることを目的とした用語辞書を作成する。

各分科会では、現在、それぞれの担当部分のアウトプットの最終まとめ段階にあり、3月19日(火)に行われるPSLXフォーラムにて勧告候補案を公開する予定です。PSLXの実装もベンダー各社で進んでおり、フォーラムでは、実際のデモとして、各スケジューラ間でデータ交換している様子も披露する予定です。PSLXにより、生産スケジューリングの新しい世界が開ける瞬間を、より多くの皆様と、フォーラム会場で共に体験できることと期待しています。

第一回 PSLXフォーラム
‐PSLX勧告候補仕様発表会‐
日時: 2002年3月19日(火)9:30-16:30
場所: アルカディア市谷(私学会館)
参加費: 一般 10,000円
スケジューリング学会員 5,000円
申込み: 以下のURLまたはE-mailで。
http://www.pslx.org
admin@pslx.org