スケジューリング学会シンポジウム
(スケジューリング・シンポジウム 2010)

生産スケジューリング、輸送スケジューリング、サービス・スケジューリング、スポーツ・スケジューリング

プログラム概要

■ 9月10日(金)

  A会場 B会場 C会場 D会場 E会場
9:15~9:45 受 付
9:45~11:15
※D会場は10:15開始
A1
リアルタイム
スケジューリング
B1
制約条件の理論(TOC)
C1
環境とエネルギー
 
SCM
コンペティション2010
ベンダー
セッション1
  休 憩
11:30~12:30 S1
特別講演1・石澤 直孝 氏(日本郵船株式会社)
(S会場)

 
昼 休 み
 
SCM
コンペティション2010
ベンダー
セッション2
13:45~15:15
※C会場は14:45終了
※D会場は13:15開始
A2
生産プロセス
革新
B2
組合せ最適化
C2
物流

  休 憩
ベンダー
セッション3
15:45~17:15
※D会場は15:15開始
A3
生産のスケジューリング
B3
スケジューリングの実用化
C3
サプライチェーン
マネジメント
  休 憩
17:30~19:30
懇親会

■ 9月11日(土)

  A会場 B会場 C会場
9:45~11:15
※C会場は9:15開始

C4
プロセス産業の
スケジューリング
A4
内示情報と
生産計画システム
B4
勤務表作成と
スケジューリング
  休 憩
11:30~12:30 S2
特別講演2・田辺 孝夫 氏(株式会社アルファパーチェス)
(S会場)

 
昼 休 み / 理 事 会
13:30~14:20
総 会
(S会場)
  休 憩
14:30~16:00 T1
チュートリアル1
梅谷 俊治 氏
小林 和博 氏
B5
エージェントベース
スケジューリング
C5
プロジェクト・マネジメント (1)
  休 憩
16:15~17:15 T2
チュートリアル2
大野 勝久 氏
B6
列生成法・分枝価格法
C6
プロジェクト・マネジメント (2)

講演一覧

9月10日(金) S会場

【11:30~12:30】特別講演1
司会: 中野 一夫(株式会社構造計画研究所)
S1 物流分野における情報通信技術開発
  ─日本郵船の取り組み─
○石澤 直孝(日本郵船株式会社)

[概要] 日本郵船による情報通信技術開発の概略についてご紹介いたします。貨物や輸送部材などの「モノ」を効率的に認識するために用いられるバーコードやRFIDタグなどの自動認識技術、関係者間で情報を共有するためのネットワーク技術などの開発について、実サービスへの展開や、技術の国際標準規格審議などの活動事例を交えながらご説明いたします。
講演者略歴についてはこちら 
 

9月10日(金) A会場

【9:45~11:15】リアルタイムスケジューリング
司会: 宮崎 茂次(岡山大学)
A1-1 ジョブスケジュール衝突の最大総利益へ与える影響
  ─JIT生産方式に基づく自律型製造装置モデルによる総利益最大化スケジューリング─
○柏原 秀明(京都情報大学院大学),宮崎 茂次(岡山大学)

[概要] 近い将来,製造業において顧客とWebシステムとが直接取引を行うインターネット生産ビジネスの実現が予想される.このため自律型製造装置と特定・不特定顧客とが直接取引を行い,顧客の依頼ジョブを製造装置自身が自律的に判断し見積回答や受注可否対応を行うことが必要となると考える.本論文は,先に提案した製造スケジュール制約下で選択的にジョブ抽出を行うJIT生産方式に基づく総利益最大化スケジューリング手法を用いて,特定・不特定顧客が製造能力以上のジョブを自律型製造装置モデルへ非同期に依頼する場合のジョブスケジューリングにおいて,ジョブスケジュール衝突が発生した場合の最大総利益へ与える影響について分析する.
 
A1-2 作業者と自律型生産設備の連携生産のためのリアルタイムスケジューリング
○林 斉,岩村 幸治,谷水 義隆,杉村 延広(大阪府立大学)

[概要] 本研究では,作業者と自律型生産設備が連携して生産プロセスを実行することができる自律分散型生産システムについて検討している.自律分散型生産システムの構成要素として,加工プロセス,搬送プロセスおよび段取りプロセスなどを実行することができる作業者,加工プロセスを自律的に実行することができるCNC工作機械,搬送プロセスを自律的に実行することができるAGV(Automated Guided Vehicle)を対象とする.加工プロセスおよび搬送プロセスについては,作業者,CNC工作機械およびAGVが生産プロセスを分担することにより連携して生産プロセスを実行する.そのため,作業者および自律型生産設備が効率よく連携して生産プロセスを実行するためのスケジューリング手法が必要となる.本研究では,生産効率と作業者の希望を考慮したリアルタイムスケジューリング手法を提案し,その有効性を検証する.
 
A1-3 異常発生状況を考慮した自律分散型生産制御方式の有効性に関する研究
○大久保 寛基,宮崎 茂次(岡山大学)

[概要] 自律分散型生産システムは、注文状況が時々刻々と変わるような生産環境の変化の大きい場面や故障などの異常事象の発生確率が高い場面において有効であると言われている。しかし、従来の生産方式と比較して、有効となる場面が定量的に明確でない。そこで、本研究では、いくつかの異常事象を想定し、従来方式との比較により有効な場面について分析を行う。そのために、リアルタイムスケジュールを行う自律分散型生産制御の特徴について、従来方式である設備選択をディスパッチングルールを用いて行う方式との比較によって明らかにし、有効場面の違いについて検証を行う。従来方式と自律分散型生産制御方式の違いとして、作業実施する設備選択にかける時間の違い、同時に使用できる設備選択ルールの数や、ルール変更のしやすさが挙げられる。この違いに基づいて、各方式が有効となる場面をシミュレーションによって分析する。
 
【13:45~15:15】生産プロセス革新
司会: 村松 健児(株式会社O2O)
A2-1 スケジューリング技術による生産プロセス革新のシナリオ
○村松 健児(株式会社O2O)

[概要] スケジューリングにおいては関係概念による把握(構成要素に対する決定の評価が要素間にわたる相対的関係によって決まるとの観点)が問題の理解に役立つことを述べて、要素還元主義的アプローチでなく構成的アプローチをとることを提唱する。生産プロセス革新の要件として(1)余分な仕掛りを持たないで工程間を繋ぐことができる(2)多様な異質の決定局面の同時全体最適化ができる、(3)マネジメントプロセスと生産プロセスとの同型化isomorphism、(4)技術としての各種性能(可制御性、解像能、リアルタイム性、弾力性、適応性など)の向上、(5)調整による制約条件の充足、を挙げる。この要件を満たすスケジューリング技術としてのO2O-テクノロジによる生産プロセス革新のシナリオを提案する。これは問題の把握、モデル化、解法、マネジメントシステムから成る。
 
A2-2 動的ロットサイズスケジューリング方法の鉄鋼プロセスへの応用検討
○富山 伸司,北條 成人,山口 収(JFEスチール(株)),村松 健児(株式会社O2O)

[概要] 鉄鋼生産プロセスは、多品種の製品を多段工程で製造する複雑なプロセスである。梯状在庫の考え方とラグランジュ分解調整法を核とした解法を、鉄鋼プロセスへの応用可能性を検討した。各工程でのロットサイズを動的に決定しながら、機械干渉、実際の製造品目の品切れ、ロット品目の材欠の3つの制約を充足するべく調整する。ラグランジュ乗数の更新による調整ステップと、ヒューリスティックによる実行可能解の導出ステップの2段階で構成されている。
 
A2-3 今日の生産環境とスケジューリング・ベンチマーク問題
○小林 稔(エムエーシー),村松 健児(株式会社O2O)

[概要] 今日の生産環境の特徴をスケジューリングの視点から捉えると、(1)処理に必要な各種属性(製品構成、工程経路、工程数、生産技術データなど)の属性値の品目間格差の拡大(2)タイムバッファ、仕掛バッファ、工程能力バッファの削減要求(3)出荷要求量の品目間格差の拡大、(4)品目別出荷要求データの変動と非定常性の拡大などがある。上記(1)は主に標準品、受注品、試作品の混合生産、マスカスタマイゼーションに起因する。新しいスケジューリングの研究に資することを目的としてこれらの条件を反映したスケジューリングのベンチマーク問題を提示して1つの解法を提案する。
 
【15:45~17:15】生産のスケジューリング
司会: 田村 隆善(名古屋工業大学)
A3-1 複数の引き取り先を持つジョブショップにおけるサイクリックスケジューリング
冠者 徹也,○中出 康一(名古屋工業大学)

[概要] 本研究では複数の機械からなるジョブショップで形成された1つの部品工場と,そこから運ばれた部品を一定の割合で消費する複数の組立工場からなる生産システムを扱う.有限計画期間の中で組立工場は一定のサイクル時間で同じスケジュールを繰り返す.このような条件の下,部品工場でかかる費用と組立工場でかかる費用の合計を最小にする部品工場のサイクル時間と各品種の各機械での処理開始時刻を求める問題の定式化を行う.このモデルにおいて,(1)各組立工場がそれぞれの引き取り間隔を組立工場自身の費用が最小になるように先に定めた後,その下で部品工場がスケジューリングを行う場合,(2)総費用を最小にするために,各組立工場の部品の引き取り間隔を変えて最適化を行う場合の両方について,数値実験を行い,総費用と最適なスケジュールを比較する.
 
A3-2 試作ラインの全体最適スケジューリング(第2法)
○早馬 真一(愛知工業大学大学院),田村 隆善(名古屋工業大学),大野 勝久(愛知工業大学)

[概要] 試作ラインの特徴は、完全受注生産であり、負荷変動が激しく仕様変更が頻繁に発生することである。本研究ではECU(エンジン・コントロール・ユニット)の試作ラインを対象に最適スケジューリングを考察する。 本試作ラインは実装基板工程、組付セル工程、最終仕上工程で構成されており、実装基板工程はロット生産、組付セル工程と最終仕上工程は個別生産である。現状では、実装基盤工程と組付セル工程の間に大量の中間在庫を抱えている。 本研究では、メーカーの納期を基準とした納期ずれ最小化、中間在庫低減を考慮した全体最適スケジュールを求めるアルゴリズムを開発している。 本研究は、2009年スケジュールシンポジウムで発表した。今回の発表は、その後の進展を報告する。
 
A3-3 多品種・多段階生産システムにおける平準化指示方策とその効果
○田村 隆善,安永 智裕(名古屋工業大学),大野 勝久(愛知工業大学)

[概要] ジャストインタイム(JIT)の基礎は平準化とされる。一般に、製品生産の平準化によって、部品在庫量を低減することはできるが、製品在庫量は増加する。単一製品・多段階工程における平準化の効果がTamuraらによって議論されている。しかし、多品種生産における平準化(平滑化)指示方策とその効果に関しては、これまでほとんど議論されていない。そこで本研究では、多品種の品物を生産する多段階生産モデルを設定し、需要の変動係数やリードタイムをパラメータにとってシミュレーション実験を行い、平準化が生産システム全体のコスト低減にどの程度効果があるか実験・考察する。
 

9月10日(金) B会場

【9:45~11:15】制約条件の理論(TOC)
司会: 村上 悟(ゴールシステムコンサルティング株式会社)
B1-1 S-DBR(Simplified-Drum-Buffer-Rope)による生産管理システム
  ─幅広い製造環境での適用を目指して─
○小笠原 剛(ゴール・システム・コンサルティング株式会社)

[概要] E・ゴールドラット博士によって開発されたTOC(制約条件の理論)の生産手法DBR(ドラム・バッファ・ロープ)は2001年に刊行された小説「ザ・ゴール」で日本でも周知の方法論となった。現在では業種を問わず適用が進んでいるが、欧米では、DBRの進化版ともいえるS-DBR(Simplified-Drum-Buffer-Rope)という手法が主流になっている。DBRでは、納期とボトルネック工程の前と2か所にバッファと呼ばれる余裕を確保した上でボトルネックのスケジューリングを行い、原材料投入との同期を計る方法であったが、S-DBRにおいては、バッファを1種類のみとし、ボトルネックの詳細なスケジューリングを行うことなく、短いリードタイムと高い納期遵守率を実現することを可能にしている。そのため必要とされるシステムは極めて簡易なものであり、立上げが容易であるほか従来よりも幅広い適用が期待できる。本稿ではこのようなS-DBRの構成要素と管理方法を紹介する。
 
B1-2 長浜キヤノン(株)におけるS-DBRによる調達革新実践事例と成果
○西嶋 利明(長浜キヤノン株式会社),普天間 敏(ゴールシステムコンサルティング株式会社)

[概要] 2005年から長浜キヤノンでは調達改革「Fプロジェクト」に取り組んでいる。Fプロジェクトの最大の特徴はサプライヤーが長浜キヤノンと共通の改善・改革活動に取り組む事によって単なる「値下げ」ではない本当の「コスト削減」を達成しようとする事にある。これまでも長浜キヤノンは様々な革新活動に取り組み、物流体制を見直すなどして、在庫の削減に努めてきたが、Fプロジェクトでは2009年4月からTOCの生産管理手法であるドラム・バッファー・ロープ(DBR)を採用。出荷リードタイムや納期順守率の改善を目指している。Fプロジェクトの参加会社は、S-DBR導入により短期間で、改善対象に設定した部品を生産リードタイムが平均20日から13日に、最も長い製品でも同44日から22日へと大幅な改善成果を実現した。本稿では長浜キヤノンにおける、Fプロジェクトを通じた真のコスト削減への取組みを紹介する。
 
B1-3 S-DBR(Simplified Drum Buffer Rope)の経営的意義
  ─「プッシュ&プル」古くて新しいジレンマをTOCでどう解くか─
○村上 悟(ゴールシステムコンサルティング株式会社)

[概要] 近年サプライチェーンマネジメントに著しい効果が報告されているTOC-SDBR(Simplified Drum Buffer Rope)の有効性について、生産マネジメントの立場から論じる。経営的に考えれば、在庫は少なければ少ないほど良いし、機会損失は限りなくゼロにしたい。しかし厳しい競争を勝ち抜くためには、ある程度の在庫を持たざるを得ないことも現実である。今日多くの企業でこの顧客納期と現場の生産性、在庫削減という問題が、プッシュとプルという古典的なジレンマを再燃させ現場の混乱を引き起こしている。本稿では、この古くて新しい問題を長浜キヤノン(株)が取り組んだ調達革新活動「Fプロジェクト」の事例を中心に、根深いジレンマをどのように解決し、著しい在庫、生産リードタイムの短縮を実現したかを検証する。
 
【13:45~15:15】組合せ最適化
司会: 西 竜志(大阪大学)
B2-1 大規模な時間枠付き配送計画問題に対する効率的解法
○橋本 英樹(中央大学),柳浦 陸憲(名古屋大学)

[概要] 配送計画問題は,様々な制約条件の下で,複数の車両を用いて全ての客をちょうど一回ずつ訪問するような経路の中で,コストが最小のものを求める問題である.これは代表的な組合せ最適化問題の一つであり,また非常に実用性のある問題である.しかし,配送計画問題はNP困難であることが知られており,与えられる問題例に対して厳密な最適解を求めることは現実的に極めて困難であると考えられている.そのような問題に対する現実的妥協策として近似解法の研究が重要である.本研究は,配送計画問題の中でも活発に研究が行われている時間枠付き配送計画問題に対し局所探索法に基づくアルゴリズムを提案する.配送計画問題の良い解の中では,ほぼ同じ訪問順序で客を巡回することが頻繁に見受けられる.我々のアルゴリズムは,その良い解同士における同一構造を利用するメカニズムを用いて,大規模な問題例でも現実的な時間で効率的に良い解を求めることを目指す.
 
B2-2 Approximation Algorithms for a Cyclic Routing Problem of Grasp-and-Delivery Robots
○軽野 義行(京都工芸繊維大学),永持 仁(京都大学),A. シュルベフスキ(京都工芸繊維大学)

[概要] 本研究では,ある種のプリント回路基板の製造ラインに導入されているロボットについて,その移動計画問題を取り扱う.この製造ラインでは,プリント回路基板に部品が埋め込まれる間,それがたわまないように支えるためのピンが使われている.ロボットは,プリント回路基板のパターンに応じて,ピンの配置替えを行っている.本研究では,ピンの配置替えを行うロボットの移動計画問題を組合せ最適化問題として定式化し,多項式時間で動作する定数倍近似アルゴリズムを提案する.
 
B2-3 1機械スケジューリング問題ソルバの開発
○田中 俊二(京都大学)

[概要] 筆者らはこれまで,一般的な1機械スケジューリング問題に対し,効率のよい厳密解法を提案してきた.本稿では,これらの研究成果をもとに開発した1機械スケジューリング問題のソルバを説明する.本ソルバはライブラリ形式となっており,他のソフトウェアから容易に呼び出すことができる点に特徴がある.本稿では,本ソルバのインタフェース設計と基本的な解法アルゴリズムを述べるとともに,数値実験の結果を示す.
 
【15:45~17:15】スケジューリングの実用化
司会: 鈴木 敦夫(南山大学)
B3-1 汎用的なシフトスケジューラによる出張要員スケジュール作成
○加藤 雅樹,久木野 誠(株式会社 構造計画研究所)

[概要] 汎用的なシフトスケジューラは、スタッフ数、各スタッフが保有する技能、勤務数の上限、スタッフの技能レベル等による割当優先度、シフトの種類、シフト実施に必要な技能・人員数、連続勤務など様々な条件を考慮してシフト表を作成することができる。 この様々な条件を考慮して予定を作成できるという特性を活かし、特殊な技能が必要な出張予定の作成に適用した。 出張予定の作成にあたっては、通常のシフト表作成にはない出張特有の条件などの設定を行った。また、実際に出張予定の作成を行っている方にヒアリングしながら、現場にあった出張予定表の作成を実現している。今回は、その概要を説明する。
 
B3-2 学会プログラムの自動作成
○鵜飼 孝盛,佐々木 美裕,鈴木 敦夫(南山大学)

[概要] 学会や研究発表会での発表プログラムは,申し込まれたデータを基にプログラム作成者が試行錯誤を繰り返し作成する.通常,共通したキーワードに基づき,何編かの発表論文を集めてひとまとまりのセッションを作成し,セッションをいくつも作ることにより研究発表会のプログラムを作り上げて行く.ところが,発表会などでは,複数の会場でセッションが並行して行われることがあり,また発表論文の著者,共著者はその発表会場にはいなければならない.また共通の内容を多く含むような発表論文は,その発表時間をできるだけ連続させることで,参加者に取って実りある学会にしようとすると,上記のような制約からプログラムの作成には多大な時間がかかることがある.本稿では,研究発表会におけるプログラム作成を数理計画問題として定式化し,その自動化について考える.
 
B3-3 大学時間割の自動作成について
光部 翔太,佐々木 美裕,○鈴木 敦夫,伏見正則(南山大学)

[概要] 大学の時間割を自動作成するシステムのプロトタイプを紹介する。時間割編成はスケジューリング問題の応用分野の一つである。ここでは、CPLEXを利用した実用的なシステムを紹介する。対象としているのは、教員数30名程度の学部の時間割である。作成した簡単なユーザーインターフェースと、実用的な実行時間で時間割の原案を作成できることを示す。
 

9月10日(金) C会場

【9:45~11:15】環境とエネルギー
司会: 茂木 美恵子((株)富士通総研)
C1-1 組み合わせ及びスケジューリング技法を用いたアパレル物流における環境負荷低減モデルの実施
○山内 秀樹,山口 賢史(住金物産株式会社 )

[概要] アパレル商品の物流において、従来までの国内拠点からの全国配送による輸送から、荷主事業者が中国に物流拠点を設けて店別配分を行い、地域ごとに貨物を集約して日本の最終消費地までの輸送を実施する。中国輸出時点で最終消費地別に出荷することで中国からの積荷を主要都市の最終消費地に近い港に着港し、現状アパレル事業者が実施している指定倉庫から最終消費地までの国内横持ち輸送の削減が可能になる。また、物流拠点で貨物の集約・コンソリを行い、積載効率の向上に伴う各輸送網の利用頻度を減少させることができる。さらに中国で配分・検品等の物流処理を行うことで国内物流作業の日数を稼ぐことができるため、航空機から海上輸送へのモーダルシフトが可能となる。これらを実現すべく中国物流拠点で貨物の出荷前に行き先やタイミングなど組み合わせやスケジューリング技法を用いることで、より相応しい解を導き出し、実施することで中国出荷時点から国内最終消費地物流におけるCO2排出量の削減を実現した。
 
C1-2 スマートグリッドと今後の計画業務
○福 浩邦,吉村 幸治((株)富士通総研)

[概要] 天候により出力変動する太陽光(PV)や風力発電といった分散型電源と従来の電力会社の側の電力系統間で双方向通信を行い、最適な電力需給制御を実現することがスマートグリッドの世界で目指されている。また近い将来には電気自動車の大量普及が予想され、その蓄電池を電力需要のピーク対応に役立てようという構想があり、V2Gと呼ばれる技術が注目されている。PVと需給変動を最適化するため、どの程度ピーク電力をPVの発電で賄えるか、また足りない場合はEVの蓄電池でその負荷を吸収できるか、需給バランスを把握し、電力供給が不足分については系統側で石油火力などの大規模な電源でバックアップする必要がある。そのため、今後はPVやEVなどの系統と接続する機器のステータスを監視し、その監視データを踏まえて計画業務を精緻化することが電力会社にとって必要になると思われる。そのような計画業務を実現するために必要な観点(需要家の行動予測など)についてお話しする。
 
C1-3 スウェーデンにおける環境政策について
○田中 いずみ(スウェーデン大使館)

[概要] スウェーデンは、環境に熱心な国としてのイメージが強く、競争力に関する国際的な調査である世界経済フォーラム (World Economic Forum)より発表された2009年-2010年度の世界競争力レポート(The Global Competitiveness Report 2009-2010)では第4位にランキングされ国としての競争力も評価が高い。また、毎年国内総生産の約4パーセントが研究開発につぎ込まれており、欧州委員会のイノベーション・スコアボード調査(Innovation Scoreboard Survey)においても高く評価されるイノベーティブな環境が整っている。本講演では、スウェーデンにおいての環境政策の全体像と、再生可能なエネルギーの利用などのいくつかの取り組みを紹介する。
 
【13:45~14:45】物流
司会: 船木 謙一(株式会社 日立製作所)
C2-1 IE手法を用いた場内ロジスティクス改善事例
○赤木 宏匡,井口 慧士,関本 章(鹿島建設株式会社)

[概要] 本発表は、ある化粧品工場において場内物流および一部作業の問題点抽出と改善を行った事例の紹介です。場内物流の問題点抽出には、物の流れに着目したDI分析を用い、作業の問題点抽出には、人の動作に着目した連続稼動分析を用いました。DI分析では、工場内に存在する物の流れを物量と頻度でマッピングすることで、改善すべき物量が多くかつ頻度が高い動線を明らかにしました。また、連続稼働分析では担当者の稼働率を明らかにするとともに、稼働率を下げている要因を明らかにすることができました。これらの分析から抽出された問題点に対する改善案を策定し、最後にそれらの改善案を実施することによる改善効果の測定を行いました。その結果、物流の改善では、保管場所の変更などにより、物流量を45%削減することができ、作業改善では、搬送方法の変更などにより、ある担当者の稼働率を21.3%向上させることが可能となりました。
 
C2-2 簡易言語を用いた産業廃棄物処理工程向け物流シミュレータの開発
○高橋 圭一(近畿大学),基村 雄作(ニッテツ北海道制御システム株式会社)

[概要] ある産業廃棄物処理工程向けに開発した物流シミュレータについて報告する.開発上の課題は次の3つであった.1)分解型物流のモデル定義手法を開発すること,2)現場作業者でも物流モデルを変更できること,3)物流過程でボトルネックの1つとなる容器を扱えること.本稿では,これらの課題を解決するため,2点間を結ぶ物流規則を積み上げて物流モデルを簡易言語で定義する方法を提案する.処理実績データをもとにシミュレーション結果の妥当性の検証,現場スタッフに対するインタビューを行い良好な結果が得られたので報告する.
 
【15:45~17:15】サプライチェーンマネジメント
司会: 船木 謙一(株式会社 日立製作所)
C3-1 リコーにおける生産日程計画作成プロセス改善の取り組み
○三浦 礼,宇治 領,宮原 秀俊(株式会社 リコー),宇於崎 雅康(株式会社 日立製作所)

[概要] 弊社では、需要の変化と在庫状況を監視しながら市場に適正な量を供給する為に、毎週月曜日に翌週以降の生産日程計画を見直している。生産日程計画の見直しにおいては、①生産能力(特に要員)と部材調達を加味し、先々の需要予測に対して適正な在庫となる実行可能な計画案を複数立案し、②今後の需要変動への対応性、損失コスト(生産能力変更、在庫金利、等)について定量評価を行い、複数案の中から最適な計画案を採用する業務を実現したいと考えた。しかし、1日の限られた時間内では全てを十分に考慮しきれず、その決定を計画担当者のノウハウに頼っていた為、大幅な需要変動時に損失コストが発生する事があった。この問題を解決する為に、日立・リコー共同で生産日程計画作成システムの構築及び、それを活用した業務改善を行った。結果、短時間に実行可能な複数の生産計画案作成とそれらの定量評価が可能となり、的確な意思決定ができるようになった。
 
C3-2 多品種製品の生産計画への受注引当、納期回答、計画再作成方式について
○佐藤 健二,井上 貴盛(株式会社 クボタ)

[概要] 当社は、総合機械メーカとして、農業機械の製造販売を行っているが、生産・販売のSCM改善に取り組んできた。中でも受注機会の損失をなくすためにも生産計画改善が望まれていた。従来、受注を在庫や生産計画に引当て、最短でいつ出荷出来るか回答する納期回答を行っていたが、顧客の希望納期を満足できない場合は、顧客、営業担当、計画担当が調整を行っていた。新たに受注種別(国内、輸出、コンポーネント)の計画が立案できるシステムを開発した。合せて、納期回答改善を行った。在庫・確定した生産計画に引当った場合は、確定納期回答とするが、変更可能な生産予定に引当ったり、未引当の場合は、仮の納期回答を行い、生産計画担当者が、希望納期内に入るように納期調整/計画組替を行い、後日正式回答する。
 
C3-3 代替設備を有する個別受注生産の納期順守率を向上する生産管理方式の開発
○永原 聡士,中野 隆宏,石橋 尚也,野中 洋一(株式会社 日立製作所)

[概要] 納期順守が重要である個別受注生産において,製品サイズや加工形状などの製品仕様により利用可能な設備が異なり複数の代替設備を有する場合,従来は,座席予約方式により納期順守率を最大化するように各製品の処理時刻と利用設備を決定していた。しかし,設計・調達遅延の製造への影響や,同一作業の繰り返しが少ないことによる作業時間の予測誤差により計画と実績に乖離が生じ,従来方式では決定した時刻に製品を処理できず納期遅延が発生する課題がある。そこで本研究では,各設備を利用可能な製品の処理時間の総和を指標とし,ディスパッチングにより本指標が小さい設備を優先的に利用する利用設備決定手法を開発した。本手法では,多くの製品に利用可能な設備を空き設備として保有することで,計画から乖離して到着する製品への対応度を最大化する。シミュレーションにより開発手法の優位性を確認し,実ライン適用において納期順守率向上の効果を得た。
 

9月10日(金) D会場

【10:15~11:15】ベンダーセッション1
D1-1 日々の受注の変化に柔軟に対応しつつ効率的な生産を実現
  ─製造業界向けソフトウェア「GLOVIA/SCP FA V8 PSI Collaborator」を新発売─
株式会社 富士通アドバンストエンジニアリング
 
D1-2 イベントドリブン・スケジューリングの仕組みと効用
  ─生産計画の実行可能性を保証,生産期間短縮など業務改革の仮説/検証が容易に─
NPO法人 技術データ管理支援協会
 
【13:15~15:15】ベンダーセッション2
D2-1 現実の計画立案業務のために柔軟性と使いやすさを追求した生産スケジューラFLEXSCHE(フレクシェ)
株式会社フレクシェ
 
D2-2 APS生産管理システム「ADAP」 によるSCM最適化
(株)構造計画研究所
 
D2-3 TOC/DBR(ドラム・バッファ・ロープ)を実装した生産スケジューラ『Insync』
株式会社ビーイング
 
D2-4 日々の受注の変化に柔軟に対応しつつ効率的な生産を実現
  ─製造業界向けソフトウェア「GLOVIA/SCP FA V8 PSI Collaborator」を新発売─
株式会社 富士通アドバンストエンジニアリング
 
【15:15~17:15】ベンダーセッション3
D3-1 「汎用数理計画法パッケージ NUOPT」「汎用シミュレーションツール S3(エスキューブ)」
  ─多様なスケジュール問題解決ソリューション紹介─
株式会社 数理システム
 
D3-2 TOC/DBR(ドラム・バッファ・ロープ)を実装した生産スケジューラ『Insync』
株式会社ビーイング
 
D3-3 現実の計画立案業務のために柔軟性と使いやすさを追求した生産スケジューラFLEXSCHE(フレクシェ)
株式会社フレクシェ
 
D3-4 イベントドリブン・スケジューリングの仕組みと効用
  ─生産計画の実行可能性を保証,生産期間短縮など業務改革の仮説/検証が容易に─
NPO法人 技術データ管理支援協会
 

9月11日(土) S会場

【11:30~12:30】特別講演2
司会: 西岡 靖之(法政大学)
S2 MDM (Master Data Management) がひらく新しい企業間取引
○田辺 孝夫(株式会社アルファパーチェス)

[概要] 航空機、自動車、エレクトロニクス等の先端分野では、アッセンブリメーカーとパーツメーカー間の企業間取引を円滑に進める為に設計情報の共有化が進んでいる。他方、POSの普及や、国際取引の増加に伴い、消費財を中心にバーコード付与が定着している。しかし、多くの場合、取引される品目に対して、売り手と買手のパワーバランスから、他方の呼び方(コード、属性)を採用し、原料・中間製品を含め全てのサプライチェーンで同一品目を統一した呼び方(コード、属性)で管理することには大きな隔たりがある。点在するデータプールやメーカー情報から、品目情報を収集し、名寄せや標準化を行うことで、論理的に統合した品目マスタの構築は可能ではるが、その為には膨大な知識と工数が求められる。当社は設立以来、この課題を経済的に成立させる為に、汎用消耗品と言う企業間取引ではロングテールの領域にある品目においてソリューションの開発に取組んで来た。本講演では、その活動について紹介する。
講演者略歴についてはこちら 
 

9月11日(土) A会場

【9:45~11:15】内示情報と生産計画システム
司会: 上野 信行(県立広島大学)
A4-1 内示情報を用いた生産計画システムの分類と適用
○上野 信行,角本 清孝(県立広島大学),奥原 浩之(大阪大学)

[概要] まず、内示の変動メカニズム、内示の属性を明らかにする。次に、内示情報を用いる生産計画システムを分類する。すなわち、納入リードタイムと製造リードタイムの2つのリードタイムの相対関係と生産能力制約有無により生産環境を規定し,内示情報を活用する生産計画のタイプを5つに分類し、その適用法を述べる。また、内示情報を活用する際に、未達率をベースとする生産計画モデルの解法、特性、応用を述べる。
 
A4-2 基準日程計画を中核とした製造と販売の連携方式
○西岡 靖之(法政大学)

[概要] 基準日程計画は、製造業における製造と販売の連携のための基準となる情報である。この数字は、月次計画の中で確定され、これをもとに詳細スケジューリングが実施されるとともに、販売は明確な納期回答が可能となる。しかし、変化が激しく、計画の数字に不確定な要素が多く含まれる昨今では、この基準日程計画が機能していない例が多い。本稿では、この基準日程計画をより短いサイクルで更新しつつ、納期順守を可能にする業務モデルとその実施手法を提案する。
 
A4-3 NECパソコン事業における生産計画システム
○若月 新一(NECパーソナルプロダクツ株式会社)

[概要] NECのパソコン事業における生産管理の仕組みをご紹介します。部品の特性に応じたグローバル調達システムやそのバックバックエンドでの生産計画や内示情報提供の仕組みを紹介します。
 
【14:30~16:00】チュートリアル1
司会: 野々部 宏司(法政大学)
T1-1 混合整数計画モデルの作成法
○梅谷 俊治(大阪大学)

[概要] 線形計画問題において一部(もしくは全て)の変数が整数値を取るという制約を持つ混合整数計画問題(mixed integer program; MIP)は,産業や学術の幅広い分野における現実問題を定式化できる汎用的な最適化問題の1つであり,近年では分枝限定法にさまざまなアイデアを盛り込んだ高性能な混合整数計画ソフトウェアがいくつか公開されている.しかし,混合整数計画問題では与えられた現実問題を線形式のみを用いて記述する必要があるため,整数計画法の専門家でない利用者にとって現実問題を混合整数計画問題に定式化することは容易な作業ではない.そこで,本発表では,整数計画法の専門家でない利用者が現実問題を混合整数計画問題に定式化する際に必要な知識をいくつかの典型例を通じて解説する.
 
T1-2 近似動的計画法入門
○小林 和博(海上技術安全研究所)

[概要] 動的計画法は,数理計画,制御,経済学など様々な分野で,問題定式化,求解のフレームワークとして用いられている.動的計画法では,最適性の原理に基づき最適方策を決定するが,その際にしばしば困難が生じる.例えば,システムを記述する要素が多い場合,状態の数が非常に大きくなってしまい,実質計算ができなくなってしまう.また,不確定要素が含まれる場合,状態間の遷移確率を知る必要があるが,それは多くの場合不可能である.これらの困難を克服するための様々なアプローチが提案されている.そのうちの一つが近似動的計画法とよばれるものである.この手法は,最適方策を近似的に求める枠組みであり,「シミュレーションをしながら最適化」を行うものだと言える.本発表では,動的計画法からはじめて,そこに生じる様々な困難をどのように克服するかを順を追って解説する.
 
【16:15~17:15】チュートリアル2
司会: 西岡 靖之(法政大学)
T2 Excelによるスケジューリングと在庫管理
○大野 勝久(愛知工業大学)

[概要] 現在,ほとんどのパソコンにExcelがインストールされている.Excelは,表計算機能,ソルバー機能等々,豊富かつ強力な機能を備えている.本発表では,生産部門の管理者,実務家,ものづくりに興味を持つ学生諸君が,スケジューリング問題と不確実な需要にたいする在庫管理問題を,Excelのソルバー機能と表計算機能をフルに活用して,手軽に解くことができる手順を示す.まずスケジューリング問題として,メークスパンを最小化する3機械フローショップ問題が,ソルバー機能を用いて手軽に解けることを示す.次いで,不確実な需要への在庫管理の基本として,安全在庫量と新聞売り子問題を説明し,最適発注点と仕入れ量をExcel関数により簡単に決定できることを示す.さらに,Excel関数だけを用いたシミュレーションとデータテーブルにより,発注点補充点方式における発注点と補充点を,平均費用が最小になるように決定できることを示す.
 

9月11日(土) B会場

【9:45~11:15】勤務表作成とスケジューリング
司会: 池上 敦子(成蹊大学)
B4-1 サービス業における勤務スケジュール作成
池上 敦子(成蹊大学),○繁野 麻衣子(筑波大学)

[概要] サービス業において,限られた人数のスタッフで高い質のサービス提供を行うためには,適したスタッフを作業に割当てることが重要である.また,長期的なサービスの質を守るためには,スタッフにとって質のよいスケジュールを割当てることも必要である.本研究では,サービス業における勤務スケジュール作成において,最適化技術の位置づけやその適用方法について議論する.比較的規模の小さい事業所を対象とし,勤務スケジュール作成問題における情報を整理すると同時に,最適化モデルを構築する過程やスケジュール作成支援システムを構築する過程で得た視点について紹介する.そして,今後のサービス業におけるスケジュール作成支援のあり方のついて述べる.
 
B4-2 訪問介護におけるweb版スケジュール作成支援システム
○村野 真悟,足立 幸子,池上 敦子(成蹊大学),宇野 毅明(国立情報学研究所)

[概要] 訪問介護とは,介護を必要とする利用者宅に訪問介護事業所のヘルパーが訪問して介護を行うサービスのことである.ヘルパーは勤務表に従ってサービスを提供しているが,勤務表作成においては,ヘルパーと利用者に関する様々な制約条件を考慮しなければならず,勤務表作成者の大きな負担となっている.本研究は,勤務表作成者の思考,作業をも含んだ意味での最適化を目指し,勤務表作成の負荷を軽減する勤務表作成支援システムの開発を行っている.2003年より継続的に行っている,訪問介護事業所における勤務表作成の観察調査,インタビュー調査から,この問題のモデル化とアルゴリズムの構築に必要な情報を整理した.また,2008 年には勤務表作成アルゴリズムと作成支援システムのプロトタイプを構築し,支援システムの有用性と問題点を明らかにした.本発表では,これらの結果を基に構築したweb版勤務表作成支援システムについて報告する.
 
B4-3 警備員勤務スケジュール作成
○齊藤 孝之,長谷川 精也(セコム株式会社)

[概要] セコム株式会社では警備サービスを提供しており、警備員などの勤務を管理するため月毎に勤務表を作成している。警備サービスは24時間365日のサービス提供となるため、社員は交代制で勤務に就いている。勤務表作成では、サービス提供に必要な人員の確保と社員の労働条件との間の調和を適切にとる必要がある。この調和をとるには様々な要件を考慮して勤務を割り当てる必要があり、勤務表作成は非常に手間と時間がかかる作業となる。当社IS研究所では勤務表作成を自動化し、勤務表作成者の負担を軽減するためのアルゴリズムの研究を行なっている。この研究成果を用いて、当社では警備員の勤務表の作成を支援するための勤務表自動作成システムを開発し、2004年4月より利用している。本稿では、勤務スケジューリング技術の応用事例として、当社における勤務表自動作成システムを利用した勤務表作成について紹介する。
 
【14:30~16:00】エージェントベーススケジューリング
司会: 貝原 俊也/玉置 久(神戸大学)
B5-1 生産計画における製造現場の課題とエージェント技術への期待
○梅田 豊裕,岩谷 敏治((株)神戸製鋼所)

[概要] 鉄鋼、アルミ・銅、機械など、当社の製品メニューは多品種・少量という特徴があり、近年では原材料費の高止まりから、生産量や納期だけでなく仕掛りや在庫の圧縮・低位安定が必須要件となっている。そのため、製造現場における生産計画業務は、極めて高度なスキルが要求され、システム化が進められ複雑化しているにもかかわらず、熟練者や人間系のチームワークに依存する部分が大きく残っている。本稿では、生産計画業務における熟練者の高度な判断の具体例や、複数の部門・担当者間での計画調整のオペレーション事例を通して、さらに高度な判断や調整を行うための課題を明らかにする。その上で、これらの課題をシステム化により具現化するためのアプローチの1つとして、エージェント利用技術への期待を述べる。
 
B5-2 熟練者エージェントによる生産スケジューリング支援
○玉置 久(神戸大学)

[概要] 生産スケジューリングに関わる計画業務において,エージェント技術による計画立案支援を目的とし,これまでに構築しつつある熟練者と非熟練者の関係モデルおよび熟練者エージェントの基本的枠組みを紹介する.また熟練者エージェントによる非熟練者支援の第一歩として,数理計画手法を用いた熟練者モデルおよび非熟練者モデルによるスケジューリング結果を示し,熟練者エージェントの有効性・可能性について議論する.
 
B5-3 マルチエージェントシステムによる社会的交渉ベース生産スケジューリング手法
○貝原 俊也(神戸大学)

[概要] 大規模化,複雑化するシステムの計画・運用手法として,マルチエージェントシステムの概念に従う方法論が考えられる.マルチエージェントシステムの持つ特徴の一つに社会性が挙げられ,一般社会のもつ効率性と頑健性に着目した新しい方法論の提案が可能と考えられる.そこで本発表では,社会的交渉アルゴリズムを生産スケジューリングに適用した取組みをいくつか紹介し,その有用性を報告する.
 
【16:15~17:15】列生成法・分枝価格法
司会: 田中 俊二(京都大学)
B6-1 検査制約を有する車両運用計画問題に対する列生成法の適用
○大野 明良,西 竜志,乾口 雅弘(大阪大学)

[概要] 車両運用計画問題は,与えられた列車ダイヤに従って列車を運行するために,各列車に対して,必要最小な車両の割当を決定する問題である.本研究では,車両の定期検査制約を考慮した車両運用計画問題の数理モデルと,それに対する列生成法による解法のアルゴリズムを提案する.提案手法では,問題を集合分割問題と列生成子問題に分割して,列生成子問題を解くことで得られる列を連続緩和問題に追加していくことで精度の良い下界値を得ることが出来る.列生成子問題については,検査制約を考慮した資源制約付き初等閉路問題としてラベリング法を用いて解くことが出来ることを,数値例を用いて示す.また,列生成子問題にかかる時間を短縮するためにラベリング法にBolandらのGSSAAを適用を試みる.さらに,列生成法の収束を速めるために,ラグランジュ緩和を用いて列生成法途中における下界値を導出する.
 
B6-2 Location-Routing Problemに対する分枝価格法によるアプローチ
梅田 真之(早稲田大学),○今泉 淳(東洋大学),森戸 晋(早稲田大学)

[概要] 物流システムは、高効率を低コストで実現することが望まれている。その設計のための数理アプローチは,戦略的フェーズで配送拠点の場所の決定の後,戦術的フェーズで配送経路や輸送量を決定する二段階のやり方が一般的で,過去の数理モデルはその枠組に沿ったものだった.しかし近年,配送拠点の設置が必ずしも固定的でなく機動的な側面が強まり,それゆえ拠点の位置と配送経路を同時に最適化する考え方が注目を浴びつつある.この拠点配置と配送経路の決定を同時にする問題をLocation-Routing Problem(LRP)と呼び,近年研究が盛んである.しかし,その多くが近似解法によるアプローチであり,またそれぞれ特定の状況にしか適用できないといった問題がある.本研究は、汎用性あるLRPモデルの構築,ならびにそれに対する最適解法の構築を目的とする.そして計算機による数値実験を通じてその性能に関する議論を行う.
 

9月11日(土) C会場

【9:15~11:15】プロセス産業のスケジューリング
司会: 藤村 茂(早稲田大学)
C4-1 バッチプロセス産業におけるオーダライフサイクルマネジメントと生産スケジューリングの融合
○藤村 茂(早稲田大学)

[概要] オーダライフサイクルマネジメントとは,オーダ情報の動的な変化を管理し,その変化に対応した意思決定を促すことを目的としている.プロセス産業では,意思決定のための生産計画およびスケジューリングで利用するオーダ情報は様々な形に変化する.一般にオーダ情報は,中長期戦略および戦術レベルの生産計画機能では集約されて扱われ,その情報は,短期運用レベルのスケジューリング機能では詳細な情報に変換され扱われる.また,スケジューリング機能では,このような情報の部分的な集約が必要な場合も多い.集約された情報と詳細な情報を混在して扱うことは,不足した情報から重要な情報を抽出するという点で非常に重要であり,スケジューリング機能と連携した利用が望ましい.本発表では,プロセス産業におけるオーダライフサイクルマネジメントとスケジューリング機能の融合について構想を述べる.
 
C4-2 プロセス産業における、スケジューリング業務上の問題点および対応するためのシステムの機能仕様
○阿久津 東眞(株式会社エーケー)

[概要] プロセス型生産システムにおいて頻繁に発生するスケジューリング上の問題点の整理と分析,およびそれに対応するための、生産管理システムに必要となる機能の考察
 
C4-3 バッチプロセスのレシピ設計のためのモジュール化
サックディシー ナラーティップ,○渕野 哲郎(東京工業大学)

[概要] 多品種生産に適したバッチプロセスの操作は、レシピによって記述される。レシピは、研究開発レベルから、製造レベルまでを、ジェネラル、サイト、マスター、コントロール・レシピの4段階で設計され、機器独立であるマスターレシピから機器従属であるコントロールレシピを設計する段階で、機器特有の情報が加えられ、操作と機器が関連付けられる。レシピ設計の効率を上げるためには、レシピのモジュール化とレシピの再利用と同時に、操作モジュールとプラント機器モジュールとの整合が不可欠となる。レシピのモジュール化のための階層化に関しては、国際規格であるANSI/ISA-S88に記載されているが、モジュール化自体の方法については規定されていない。本研究は、ANSI/ISA-S88におけるプロセスモデル、プロシージャーモデル、物理モデルとの関係をベースとして、機器モジュールと整合する操作モジュールの導出を提案する。
 
C4-4 プラントライフサイクルにおける計画系業務の位置付け
○北島 禎二(東京農工大学),島田 行恭(労働安全衛生総合研究所)

[概要] 装置産業たる化学プロセス産業の計画系業務は、生産行為そのものだけではなく生産設備の保全やプラントの安全管理まで計画に含めた、プラントライフサイクル全体を統合的に考慮した意思決定の仕組みとして捉えなければならない。本講演では、各階層でPDCAサイクルが回る仕組みを備えたエンジニアリングアクティビティモデル構築の試みについて紹介するとともに、プラントライフサイクルの中で生産システム全体を業務の面から捉える参照モデルの重要性についても議論する。
 
【14:30~16:00】プロジェクト・マネジメント(1)
司会: 佐藤 知一(日揮(株))
C5-1 リスク確率に基づく新しいプロジェクト評価の理論的枠組みについて
○佐藤 知一(日揮(株))

[概要] 本発表の目的は、プロジェクト価値評価とリスクを統合した、新しい理論的フレームワークを提案することである。DCF法などの従来手法は、プロジェクトをいわば「点」として捉え、静的に評価するに留まっていた。演者は、(1)プロジェクトには失敗のリスクが付随しているとの前提に立ち、(2)プロジェクトを「アクティビティ・ネットワークで構成されるシステム」としてとらえて、システム工学的なモデル化手法を用い、(3)リスク確率の概念を導入し、個別アクティビティのリスク分析問題と、ネットワーク・ダイアグラムの設計/評価問題に分離する、というアプローチにより、リスク基準プロジェクト価値(RPV)という新たな手法を導出した。また個別アクティビティの貢献価値を計算する方法を見出したので、ここに報告したい。
 
C5-2 エンジニアリング・プロジェクトにおける機器資材調達マネジメント
○橋野 秀紀(東洋エンジニアリング株式会社)

[概要] 40ヶ月にも及ぶプラント建設において、機器資材の調達はその納期管理のみならず、詳細設計スケジュールに影響を与えないようにベンダーの設計情報をタイムリーに入手することも重要な課題である。機器だけを取り上げてもプロジェクト開始から数ヶ月以内の短期間に700~1,000ものアイテムに対して「①機器据付工事の観点」「②ベンダー設計情報の入手によって進展する詳細設計の優先度の観点」より発注の優先順位・スケジュールを決定する。発注後も、日々刻々と変化するプロジェクト状況及びベンダー状況に留意しながら、ダイナミックにプロジェクト全体のスケジュール・コスト・品質の最適化を図っていくことがプロジェクトの成功につながる。エンジニアリングの現場で如何にダイナミックな資機材調達スケジュールマネジメントが行われているのかを、いくつかの事例を交えて紹介する。
 
C5-3 CCPMの受託型ITプロジェクトにおける導入事例
○岡村 孝彦(株式会社NTTデータ)

[概要] CCPM(クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント)はTOC(制約理論)に基づくプロジェクト管理方法である。CCPMにより、タスクの所要時間の変動を効果的に管理することが可能となる。CCPMを活用することでプロジェクト期間を短縮したり、プロジェクトを実施する組織全体のアウトプットを増やすことが可能になる。本報告では、受託型ITプロジェクトにCCPMを適用したときに得られた期間短縮効果および管理のしやすさ等の副次的効果を紹介する。また、プロジェクト現場で実際に適用した具体的運用方法例もあわせて紹介する。
 
【16:15~17:15】プロジェクト・マネジメント(2)
司会: 佐藤 知一(日揮(株))
C6-1 個別受注生産型の大型産業機械における工程計画システムの適用事例
○木村 早帆(株式会社 荏原製作所)

[概要] 当社富津工場では、顧客の仕様に基づき設計、製造する各種プラント向け大型ポンプを主力製品としている。一般に、このような個別受注生産型製品の工程計画は複雑であるため、人間系による対応が主であったが、当社においては、コンフィグレータを用いて個別製品毎の概略製造工程を決めた上で、スケジューラーを用いて工場資源を制約条件とした負荷の山積・山崩しを行うことを試行している。本発表では、当社における取り組み内容の概要と実施上の課題について発表する。
 
C6-2 作業時間の変動コストを考慮したロバストなプロジェクト・スケジュールの生成法
○森田 大輔,諏訪 晴彦(摂南大学)

[概要] プロジェクトの実行過程において,作業時間の遅延などの不確定的事象の生起にともなって,当初のスケジュールどおりにプロジェクトを遂行できない状況に陥ることが多々ある.これに対応する方策の一つとして,プロジェクト・スケジュールの立案段階において,不確定的事象の生起を予め考慮したクリティカルチェーン・スケジューリング(時間バッファ管理)法がある.著者らはこれまでにプロジェクト全体の時間バッファの挿入量を重視したクリティカルチェーン・スケジューリング法の枠組みを提案し,その有用性を示した.本研究では,提案手法の確立の一環として,プロジェクトを構成する作業の処理時間の変動に対するコストを導入し,総期待コストの最小化を目的関数としたプロジェクト・スケジュールへの時間バッファの配分方法を提案する.
 

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